乳首全体が膨張
これをアルバイトと言ってしまうのは、なんだかおかしいと思うのですけれど、ほかに適当な言葉がありません。
紹介してくださったPTA会長さんに言われたとおりに、この日、わたくしは香水をつけないできていました。
わたくしは特別に香水が好きというわけではありません。
身だしなみ程度に、外出時につけるだけです。
自分があまりこだわりを持っていないせいか、香水をつけないように言われたことも、匂いの強い化粧品を使わないように言われたことも、あまり気にしていませんでした。
「いい匂いだね」
「わたくし、なにも匂いのするような化粧品はつけておりません」
わたくしの首筋に鼻をこすりつけるようにしていたあの方が、少し顔を離して言います。
「君の肢体そのものが、とてもいい匂いをさせている」
「そんなこと、あるんですか?」
「知らなかったのかい」
「ええ、ちっとも」
「自分では、わからないというのは本当のことだったんだな」
独り言のようにつぶやいて、再びわたくしの首筋に鼻をつけたあの方が、空気を吸い込むのがわかりました。
そして、うっとりした表情を、端正な顔に浮かべると、まるで官能に恍惚となった美女のように美しいのです。
こんなに美しい男性は今まで見たことがありません。
身体を売るのではない。
そんな契約のことなんか、どうでもよくなっていました。
源氏の君のように、気高く美しい方に、この身を捧げたい。
わたくしの、磨き上げられた肢体は、この方のために存在するのではないだろうか。
そんなことさえ、考えるようになっていました。
胸の谷間にしばらく顔をうずめていたあの方が、鼻先で乳首を押し上げます。
「あっ……」
何度もこすられているうちに乳首全体が膨張して赤く色づいてきました。
舐められたい。
強く吸ってもらいたい。
そんなわたくしの願いは叶えられず、鼻を押しつけられるばかりでした。